『ホテル・ルワンダ』(2004年 南アフリカ・イギリス・イタリア合作)

為政者の都合がいいように、差異を利用して住民を上下に分けてしまう。憎しみが生まれる。為政者は去り、憎しみは残る。普通に暮らしていた人の間に憎しみが広がる。ナタで殺しあう。でも家族や隣人だぜ?本当に憎いのか?殺したいのか?殺させたいのか?

100日に100万人が死ぬ虐殺事件が起こってしまったルワンダ。フツ族とツチ族の抗争、そして多数派フツ族による少数派ツチ族に対するジェノサイドとツチ族の反抗のさなか、武器(不満分子の間で周到に用意されていた!)を手に取った人々が互いに刃を向け合った。

四ツ星クラスのホテル支配人ポール。彼はフツ族だが妻の一族はツチ族。彼はただ、家族と仕事と隣人を守りたかった。矜持と良心が自分の職場に駆け込んできた1000人以上の人間を守りきった。『ホテル・ルワンダ』はそういう物語だ。

支配人ポールは頭脳で戦う。手段はぜんぜんキレイじゃない。ためらうことなく強い者に札束をふりかざし、家族の財産をも差し出す。食料調達のためには普段取引のある業者(これが先頭に立って虐殺を行う民兵組織のボスだったりする!)の元にも向かう。フツ族政府軍将軍にはワイロ攻勢をかけ、ハッタリをかます。結局のところ彼らを見捨てた「国際社会」の元に居る、白人の経営者に電話で懇願してフランス当局を動かすことまでやってのける。

限界はあったが仲間もいた。フツ族ツチ族を問わないホテルスタッフ達(トンデモナイのも混じっていたけど)。「何もできない」が、身体を張って本気でホテルを守り続けた国連平和維持軍の老大佐。ジャーナリスト、赤十字ボランティア、等々。なにより「お客様」全員が精神を保っていた。そしてすべてが動き出した。

「感動」については敢えて書かない。ただ、作品としてすさまじくよくできている。非常時にあってネクタイとスーツを欠かさなかった支配人が事件を通してどうなったか。象徴的な場面の描写には眼を見張る。

最後に。この映画は国内で当初配給会社の買い手がつかなかったこと。見たい人たち5000人の意思表示と、心ある配給会社の決断が公開に繋がったこと。そして現在でも全国で限られた劇場でしか上映される予定がないこと。都内ではたった一箇所のミニシアターでしか見られないという状況にあることを、記しておきましょう。
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by meshikagen | 2006-01-15 13:07 | その他映画
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